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第72話 高井

Autor: G3M
last update Última actualización: 2026-01-14 07:56:13

 美登里が範経を連れて教室に入った。

「範経を連れて来たわ。受け取って。逃がさないようにね」と美登里。

「はい、美登里先輩。お預かりします」と由紀。

「範経、いい子にしてるのよ」と美登里。

「ぼくは子供じゃないよ」と範経。

「ええ、わかってるわ。あなたは私のかわいい弟よ、範経。それじゃあ」と美登里。

「美登里先輩、失礼します」と由紀。「範経、今日は私のものよ」

「うん」と範経。

「だめだ、独り占めはさせない。私が半分もらうよ」と祥子。

「それじゃあ、半分ずつね。どこで切ろうかしら?」と由紀。

「切らないでよ!」と範経。

「冗談よ」と由紀。

「範経が学校来るの、久しぶりね。今日は範経から離れないわよ」と由紀。

「うん。ずっと一緒にいるよ」と範経。「今日は由紀と祥子に会いに来たんだ」

 「うれしいわ!」と言って、祥子は範経を由紀から奪って抱きしめた。「ああ、このまま範経に抱きついたまま授業を受けたい」

「範経君、おはよう。祥子はいつにも増して熱烈ね」と玲子。

「うん。学校に来たっていう気がするよ」と範経。

「会社はどう? 社長の仕事には慣れたの?」と由紀。

「仕事はぼちぼちだよ。だけど変なお客さんが多くて疲れるんだ」と範経。

「変なって、どんな人?」と祥子。

「一方的な要求を押し付けてくる人とか、忠告を聞かないくせにトラブルを起こしてからこんなはずじゃなかった、なんて文句を言うような人とかだよ」と範経。

「大変ね」と玲子。

「疲れたよ。ほんとうは今日、休みたかったんだ。でも姉さんに起こされて」と範経。

「かわいそうね。膝枕してあげる」と由紀が言いながら、祥子から範経をひきはがして抱きかかえた。

「うん」と範経。

「この頃、高井君が変なの」と由紀。

「あのヒガミ屋の高井が?」と範経。

「最近、自信満々なのよ」と由紀。

「多少の自信を持つことはいいことだよ」と範経。

「先週あった予備校がやってる大学入学試験の模擬試験で、全国で十位以内に入ったって大威張りしてるんだ」と祥子。

「それは何かのイカサマだね。彼は優秀だけど、そこまでじゃない」と範経。

「彼は覚醒したって言ってる」と祥子。

「ふーん。その確率はゼロじゃないけど」と範経。

「それにちょっと雰囲気も変わってるの。急にきょろきょろしたりニタニタ笑ったりして。少し気味が悪くて」と由紀。

「変だね。薬でもやってるのかな。最
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